近年「自己肯定感」という言葉を耳にすることが増えましたが、自己肯定感とは一体どのようなものかご存知でしょうか?
簡単に言うと、そのままの自分を肯定して受け入れてあげる感情のことで、前向きに人生を送るためには必要不可欠なものです。
しかし、様々な原因によって自己肯定感が低くなってしまう場合があり、それに伴うリスクも存在します。
この記事では、自己肯定感の正確な定義と重要性、下がってしまう原因や改善方法を詳しく解説していきます。
日常的に耳にすることも多い「自己肯定感」という言葉ですが、正確な意味をご存知でない方も多いかと思いますので、まずはその定義を確認していきましょう。
自己肯定感とは、一言でいうと「ありのままの自分を受け入れ、肯定してあげる感情」のことです。
ここで重要なのが、「ありのままの自分」であるという点ですね。
例えば、「自分は同期の中で営業成績が一番だったから優秀な人間だ」という自己肯定はどうでしょうか。
この場合仕事がスランプに陥ってしまい、成績が急に悪くなってしまったとしたら、その自分を肯定的に受け入れて上げられないかもしれませんね。
これに対して、自己肯定感というのは、例え仕事で不調が続き、自信を失っていたとしても、そんな自分もしっかりと価値のある人間なんだと肯定的に受け入れることができる感情を意味します。
誰かと比べた相対的な評価や、特定の条件などを必要としない、いついかなる場合でも自分を受け入れられる気持ちが自己肯定感というわけですね。
ありのままの自分を肯定し、受け入れるのが自己肯定感ということが分かりましたが、自己肯定感が低くなるとどうなるのでしょうか。
実は自己肯定感の低下には重大なリスクがつきまとうため、ここから紹介する内容をしっかりとチェックしてみてください。
自己肯定感が低くなってしまうことの弊害として、物事へチャレンジする気持ちがどんどん失われてしまうというものがあります。
なぜかというと、挑戦には失敗がつきものですが、自己肯定感が下がっている人は、失敗した自分を受け入れることができないため、次の挑戦を恐れたり、どうせ自分にはできないと思い込んだりしてしまうためです。
何事においても他人と自分を比較せずにはいられないのも、自己肯定感が低くなることによるデメリットです。
ありのままの自分を肯定できる人は、自分を認めるために他者との比較を必要としません。
しかし、自己肯定感が低い人は、他人と比較して優れた点を見つけなければ、自分を受け入れることができないのです。
そして厄介なことに、何事においても必ず自分より優れた人というのは存在します。
そのため、自己評価を他者との比較に委ねてしまうと、必ずと言っていいほどネガティブな思考に陥ってしまうのです。
チャレンジをしなくなったり、他人との比較の上で自分を低く見積もってしまったりすることと共通する部分がありますが、自己肯定感が下がると、どんなことでもネガティブに捉えがちになります。
どうせ失敗する、自分は他人より劣っているといった思考にとらわれてしまう弊害といえるでしょう。
自己肯定感が失われていくと、次第に自分の考え方や価値観に自信が持てなくなり、物事を主体的に決断することができなくなっていってしまいます。
友達同士で旅行の行き先を決める相談をしていたり、仕事のミーティングをしたりしている時などにも、自分の意見を中々言えないことなどはその典型と言えるでしょう。
物事を自分で決断できなくなると、自分の人生に対して責任を負うのを避け、他者に依存してしまいがちになります。
社会生活を送るというのは、人を助けたり、誰かの役に立ったりするということでもあります。
しかし自己肯定感が下がり、自分に価値が無いと思い込んでしまうと、誰かのために何かをするということができなくなります。
その結果、自分は社会に必要とされない人間であると、社会との隔絶を感じるようになってしまいます。
自己肯定感の低下は様々なリスクがあるということがわかりましたが、それはなぜ自己肯定感が下がってしまうのでしょうか。
ここからはその原因について解説を行っていきます。
過去に何か大きな失敗をしてしまい、それがトラウマとして忘れられないものになってしまうというのが、自己肯定感が低くなってしまう最も大きな原因です。
人は楽しかった体験よりも、辛かったことをより強烈に覚えているという習性があります。
本来失敗してしまった場合の最善の選択は、反省点を洗い出して次に活かすということですが、失敗によってもたらされた辛い体験ばかりがクローズアップされてしまい、自分にはできない、自分は無価値な人間だと思い込んでしまうことで、自己肯定感が失われていってしまうのです。
人は子供の頃から常に誰かと比べられています。
子供の頃であれば、テストの点数や足の速さなど、そして成長するにつれて容姿や学歴、年収や社会的ステータスなど、どんどんと比較される機会というのは増えていきます。
こういった過程の中で、自分が他者より劣っていると強く感じてしまった人は、自己肯定感が低くなりがちな傾向があります。
人格の形成において、幼少期の体験というのは非常に大きな影響を及ぼすものです。
そして、子供のころから否定されることが多かった人は、自己肯定感が低くなりやすいと言われています。
例えばテストの点数が平均点以下だったとして、「前回より点数が上がってすごいね。次はもっと上を目指して頑張ろうね」と褒められるのと、「どうして平均点も取れないの?」と否定された場合、前者は自己肯定感が強まるのに対し、後者は劣等感や無力感に苛まれ、自分を肯定することができなくなってしまうのです。
さて、ここらはいよいよ自己肯定感を高める具体的な方法を解説していきます。
自己肯定感を高めるために、まず何よりも重要なのが、自己肯定感が低い状態にあるということを自分で認識することです。
自分が「今、なぜその様に感じているのか」ということを自分で認識することを「自己認知」と呼びます。
正しい自己認知は自己肯定感が低下してしまっている自分を客観視することにつながります。
つまり、自己肯定感の低下によって必要以上に自分を無価値だと思ってしまっているということに気付けるため、それだけでも自己肯定感が上がることにつながるのです。
さらに具体的に自己肯定感アップを促せるテクニックもあわせて紹介していきましょう。
セルフハグとは、自分で自分を抱きしめてあげることです。
右手で左肩を、左手で右肩を抱きながら、「今日も一日よくがんばって偉いね」など、自分をありのまま肯定する言葉を自分自信にかけてみてください。
こうすることで、脳内で安心や愛情を感じるホルモンが分泌され、自己肯定感が上がるとされています。
リフレーミングとは、物事の認識の枠組みを変えることです。
例えば、優柔不断というとネガティブに思えるかもしれませんが、見方を変えれば、ものごとをしっかりと考える慎重さがあるとも捉えられます。
この様に、自分の欠点を紙に書き出し、リフレーミングによって長所としても考えられる捉え方に変換してみてください。
きっと自分を肯定できるようになるはずです。
失敗体験は自己肯定感が下がる原因とお伝えしましたが、その克服のために有効なのが、スモールサクセスです。
スモールサクセスとは小さな成功という意味で、どんな些細なことでも構わないので、成功体験を積み重ねることで自信を取り戻すというアプローチです。
成功の内容は本当になんでも構いません。
部屋の掃除をする、寝る前に10分だけ勉強をする、会議で普段より多く意見を出してみるなど、簡単にクリアできる目標を設定し、それを達成することが自信の獲得に繋がっていきます。
自己肯定感が下がることによるリスクと、自己肯定感を取り戻す方法について解説しました。
自己肯定感はありのままの自分を受け入れる感情であり、ポジティブに生きるためには必要不可欠なものです。
過去の失敗体験や他人に対する劣等感、幼少期の体験などによって自己肯定感が落ちてしまっている方は、ぜひこの記事で紹介した内容を参考に自己肯定感を上げ、前向きな日常を取り戻してください。