自己受容という言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。
自己受容とは、ありのままの自分を受け入れ、自分自身と向き合うことです。
しかし、ありのままの自分を受け入れるというのは、簡単なことではありません。
そこで今回の記事では、自己受容とは何か、なぜ自分を受け入れることが難しいのか、そして受け入れるために気をつけたい7つのポイントについてご説明していきます。
最初に、自己受容とはどういうものなのか、自己受容することで何が可能になるのかなど、詳しくご説明します。
自分というものを素直に受け入れて向き合うとは、どういうことなのでしょうか。
自分の生活や行動など習慣になっているものを変えるのは簡単なことではありませんが、それを含めてすべて受け入れるのが自己受容です。
たとえば、簡単に変えられないのは、次のようなことです。
・身体的特徴(背が高い・低い、顔の作りなど)
・経済的なこと(貧富の差)
・能力の有無(成績が良い・悪い、仕事ができる・できないなど)
・人間関係(両親や兄弟、親戚、恋人、配偶者など)
・所属している職業や学校など
悩みを解決するためには、まずは自身が置かれた「ありのまま」の状況を受け入れることが必要です。
自分の中に誇れることが少ない場合、自己受容をするのが困難に感じるかもしれません。
しかし自己受容には、自分が誇れることがあるかどうかなど、関係ありません。
自分では、できないと思っている自分にも価値があると認めることこそが、自己受容なのです。
自己受容と自己肯定はいったい何が違うのでしょうか。
自己受容は、できない自分、ありのままの自分を受け入れることです。
一方、自己肯定とは、「私は○○ができる」と自信をもって誇れるようなことを指します。
自己肯定をするためには、まずは自己受容が必要です。
自己受容ができるようになると、自然と自己肯定ができるようになります。
自分が自分の価値を認められるようになると、自分の行動や態度に変化がうまれ、他人からの好評価を受け入れられるようになり、自尊心がさらに向上していきます。
このように、自己肯定をするためには自己受容が必要ですが、自分を受け入れることは簡単ではありません。
それではなぜ、自己受容ができないのでしょうか。
その要因には大きく3つの理由があるといわれています。ここからは、自己受容を妨げる要因について、解説していきましょう。
自分の中には、インナーペアレントとインナーチャイルドという2つの存在があります。
インナーペアレントが、自分の中で否定的な考え方を生み出している可能性があります。
人は幼少期に両親から大きな影響を受けており、無意識のうちに両親の考え方や行動が深く心の中に刻み付けられ、それがインナーペアレントとなるのです。
たとえば、両親から、「危ないことはするな」「常識はずれなことはやめて」「ご近所に恥ずかしいふるまいはしないで」などと常にいわれて育ったとします。
その結果、心に残った両親の言葉が、大人になっても無意識にもう一人の自分であるインナーチャイルドを批評するジャッジマンとなります。
そして心の中に深く根付いた否定的な考え方により、自己受容ができなくなり、肯定的な意見を受け入れられなくなってしまうのです。
他人の目を極度に気にする人は、なかなか自己受容ができません。
周りの目を気にしはじめるときりがなく、何をしても誰かに否定されてしまう気がしてしまうのです。
このような行動が習慣化して自分に根付いてしまうと、反射的に悪いほうにしか考えられなくなり、自己受容が難しくなります。
自分を受け入れると、今までと価値観や行動が変わってしまうことがあります。
今まで身近にいた人たちや、大切にしてきたものを否定されるように感じて、自分の変化に恐れを抱くこともあります。
しかし、変化を恐れていると行動を変えられず、自己受容できなくなってしまうのです。
意識すると自己受容しやすくなる、7つのポイントについてご説明します。
まずは、自分の嫌いな部分をどんどんノートに書き出して、はっきりさせましょう。
ただなんとなく自分が嫌いという状態では、自分と向き合うこともできません。
嫌いな部分を頭に考えを思い浮かべただけでは、考えがすぐに消えてしまいます。
そこでノートに書き出して可視化すると自然と考えがまとまり、自分と向き合いやすくなるのです。
以下のように、具体的に箇条書きにしてみましょう。
・協調性がない
・感情的になりやすい
・深く考えず、突発的に行動してしまう
などと、どんどん書き出していきましょう。
自分の嫌いな部分と向き合い、一つひとつを受け入れていくことで自分を好きになることができます。
自分の中に嫌いな部分があったとしても、自分を否定しないでください。
たとえば、「深く考えず行動して、いつも周りに迷惑をかけてしまう」と落ち込むことが多いとします。
しかし、ネガティブに考えてばかりいても、意味がありません。他者から批判されても、そんな自分自身を受け入れてあげましょう。
まずはどんな自分も受容して、自分を否定したり非難したりすることは、やめましょう。
それから、次に同じ失敗をしないためにはどうすればよいか、何を大切にしたらよかったのかを考え、前向きに行動することが重要なのです。
できないことに無理して取り組むのではなく、できることから一生懸命頑張ってみることも大切です。
苦手なことは誰にでもありますから、そこはしっかりと認めて、とりつくろうのはやめましょう。
これはできないけれど、これならできるという考え方で、まずはできることに取り組んでみてください。
たとえば、人前で話すのが苦手で会議で話せなかったとしても、誰かに話してもらうために会議の資料を作ることはできるかもしれません。
事前に会議資料を準備したり、会議で問題になりそうな点を洗い出したりすれば、会議はスムーズに進むでしょう。
自分のできる範囲で周りに貢献できれば、自己肯定するきっかけにもなります。自分を受容し、自ら考えて行動することがおすすめです。
失敗して目標を達成できなかったら、思い切って目標を変えてみましょう。
最初に立てた目標を必ず達成する必要はありません。目標を変えて再チャレンジすれば、達成できる可能性もあります。
目標を達成することで、頑張ることができた自分を認め、自分の行動力に自信をもてるかもしれません。
自分の理想通りの完璧な人になることは、不可能に近いです。
完璧を求めすぎないでください。
完璧を求めているうちは、不完全な自分を許すことが難しくなり、自己受容はできないでしょう。
視点を少し変えて、周りの環境を変えてみるというのも、良い方法です。
今まで自分を受け入れられなかったのは、周りの人たちが優秀すぎたのかもしれません。
周りに批判ばかりする人がたくさんいた、ということも考えられます。
そのような環境にしがみいていると、自分を追い込んでしまう可能性があります。
自分を受け入れてくれる場所に身を置いたり、自分を受容できるような場所に行く機会を増やしたり、いつもとは違う環境に身を置いてみるのもおすすめです。
いろいろなことを試しても、どうしても自分を受け入れられない場合は、もしかしたら自分だけの力では自己受容ができないのかもしれません。
そのようなときには、第三者の助けを借りましょう。
専門家によるカウンセリングを受けることで、自分を受け入れられる環境が整う可能性もあります。
客観的な立場の人からの言葉に、視点が変化するような気づきが起こる可能性もあります。
自分だけで頑張り続けるのではなく、ときには人に頼ることも大切です。
自己受容は、ありのままの自分を素直に受け入れ、認めてあげることです。
自己受容ができるようになると、自己肯定につながり、人生が豊かになるきっかけになることもあります。
自己受容を行うのは簡単なことではありませんが、ここでご説明した7つのポイントに気をつけてみてください。
ありのままの自分を素直に受け入れ、次の行動を考えられるようになれば、自分らしく自信をもって人生を楽しめるようになるでしょう。