HSPとは?気質・特性・セルフチェック方法・生きづらさを克服する方法を紹介
ちょっとした物音や光といった刺激にも敏感に反応してすぐに疲れてしまったり、他者に感情移入しすぎてしまい、自分事の様に傷ついてしまったりといったことにお悩みをお持ちの方は、もしかしたらHSPと呼ばれる気質によるものかもしれません。
この記事では、HSPとはどの様なものであるかを解説した上で、HSPのセルフチェック方法や生きづらさを克服する方法を解説していきます。
HSPとは?
HSP(エイチ・エス・ピー)とは、Highly Sensitive Person(ハイパーセンシティブパーソン)の頭文字を取ったもので、生まれつき視覚、触覚、聴覚といった感覚が敏感で非常に敏感で、感受性が豊かな特徴を持った人を指す言葉です。
HSPはアメリカの心理学者であり、繊細な気質を持つ人について研究していたエレイン・N・アーロン博士によって1990年代に提唱されました。
エレイン・N・アーロン博士によると、HSPの割合は人口の15%~20%とされており、約5~6人に一人がHSPであるということになります。
HSPの人はその高い感受性や敏感さゆえに、現代社会で生きづらさを感じているケースも多いとされています。
また、HSPは病気と勘違いされることも多いですが、あくまで先天的な「気質」であることに注意してください。
HSPの4つの特性DOES(ダズ)とは
HSPは感覚と感受性が生まれつき豊かな人であるということをお伝えしましたが、エレイン・N・アーロン博士によると、以下の4つの特性を持つとされています。
・Depth of processing
・Overstimulation
・Empathy and emotional responsiveness
・Sensitivity to subtleties
これら4つの頭文字を取り、HSPの人が持つ特性をDOES(ダズ)と呼びます。
それぞれどの様な特性なのか、個別に見ていきましょう。
Depth of processing(深い処理ができる)
DOESの1つ目の特性であるDepth of processingとは、処理能力の高さを意味します。
HSPの人は物事について深く考え、その処理能力も高いため、次の様な特徴を持ちます。
・一を聞いて十に想像を巡らせることができる
・一つのものごとを深く掘り下げ、徹底的に調べる
・お世辞や嘲笑を鋭敏に察知し、見抜くことができる
・物事を始めるまでに入念に考えるため、時間がかかる
・目先の快楽よりも行き方哲学的な物事への関心が強い
Overstimulation(刺激を受けやすい)
DOESの2つ目の特性であるOverstimulationは、刺激に対して敏感な特性を意味します。
具体的には、次の様な傾向が見られます。
・人混みや大きな音を苦手とする
・友達といる時間は楽しいが、同時に気づかれもしやすく、帰宅後に疲労がどっと押し寄せてくる
・映画や音楽、本など、芸術作品や創作物に感動して泣くことが多い
・他人から言われた些細な言葉に傷つき、忘れられない
・世間一般的に些細なことであっても過剰に驚いてしまう
Empathy and emotional responsiveness(感情の反応・共感力が高い)
DOES3つ目の特性であるEmpathy and emotional responsivenessとは、物事に対して感情が反応しやすく、共感性が高いことを意味します。
これにより、HSPの人には次の様な特徴が見られます。
・他人が怒られているのを見ると自分のことのように感じ、傷ついたりお腹が痛くなったりする
・映画や小説に登場する人物の悲しいエピソードに共感し、自分も傷ついてしまう
・人のちょっとした仕草や目線、声を敏感に察知し、機嫌や考えていることがわかる
・幼児や動物など、言葉を話すことができない相手の気持ちも理解することができる
Sensitivity to subtleties(些細な刺激を察知する)
DOES最後の特性であるSensitivity to subtletiesとは、普通の人では気にならないような些細な刺激も敏感に察知し、反応するという意味です。
具体的には、次の様な特徴があります。
・冷蔵庫や時計の音が気になってしまう
・日光や強いライトの光などが苦手
・コンビニや車、タバコの臭いなどで気分が悪くなる
・食べ物や飲み物にカフェインや添加物が含まれていると敏感に反応してしまう
・衣類のタグや素材のチクチクする感覚が我慢できないほど気になる
・第六感や直観に優れている
DOESはHSPのセルフチェックにも用いられる
HSPの人はDOESという4つの特性を持つことが分かりましたが、これらに当てはまっているかどうかを確認することで、HSPかどうかのセルフチェックを行うことができます。
先述した4つの特性を確認し、全てに当てはまる場合にはHSPである可能性が高いと言えるでしょう。
一方で、いくつかに当てはまっていたとしても、一つでも該当しない特性がある場合には、定義上HSPではないとされます。
冒頭でもお伝えした通り、HSPは先天的な気質であるため、環境などによって後天的に変わることはありません。
自分や身の回りの人がHSPかもしれないという心当たりがある方は、DOESの特性とその人の気質を照らし合わせてみてください。
HSPが生きづらいと言われる理由
HSPの人は感覚が過敏で、共感力が高すぎることから、「疲れやすい」「自己肯定感が低い」「他人に共感しすぎる」など、生きづらいとされる特徴を持っていることが多く、うつ病になってしまうリスクもHSPでない人と比べて高いと言われています。
そして何よりHSPの人が生きづらい最大の理由は、社会全体が非HSPの人を基準に作られており、HSPの人が持つ過敏さや共感力の高さと言った特徴は目に見えないため、それゆえの辛さをわかってもらえないという点にあります。
自分に最適化されていない社会の中で、その辛さを理解されづに生活しなければならないというのがHSPが生きづらいと言われる理由なのです。
HSPと向き合う方法
それでは、HSPの人が少しでも楽に行きていくためにはどうすればよいのでしょうか。
その最も効果的な方法は、HSPに対する理解を深めるということです。
HSPの人は生まれつきマジョリティである8割の人には理解できない、疲れやすさや自己肯定感の低さといった辛さを抱えていきてきましたが、これがHSPという気質に由来するものであるということを理解していないケースも非常に多く見られます。
そのため、HSPとはどういったものなのか、なぜ自分にその様な特徴があるのかということをしっかり理解すれば、原因不明の辛さは対策できるものとなります。
例えば自分がすぐに疲れてしまうのも、「どうしてみんなは大丈夫なのに自分だけが・・・」という自己肯定感の低さに繋がりがちですが、実際にはHSPによる感覚の過敏さが原因であるということが分かれば、必要以上に後ろ向きに捉える必要はなくなるでしょう。
また、物事にこだわりすぎる特性があるならば完璧を求めすぎないようにする、他人に感情移入しすぎるならば他者と自分を切り分けて考えるようにするなど、対策を立てることもできるようになります。
この記事を読んで自分、あるいは近しい人がHSPであるということがわかったら、落ち込んだり思い悩んだりするのではなく、HSPというのは単なる気質であるということを前向きに受け止め、その上で快適に生きるためにはどうすればよいかを考えてみてください。
まとめ
HSPの概要や特性、生きづらいとされる理由やその対処法について解説しました。
HSPとは人並み外れて感覚が敏感で、感受性が高い気質を持った人のことです。
その特性ゆえに、非HSPの人を基準に作られた社会の中では生きづらさを感じることもあるかもしれませんが、HSPについての理解を深めることで、楽に生きるための対策を立てることも可能です。
そのために、ぜひこの記事を参考にしてみてください。